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日本語作文コンクール

日本語学習相談室

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このページでは、日本語母語話者ではない日本語学習者の方々を対象に、日本語学習における悩み等の質問を受け付け、日本語教育の専門家が回答します。以下の留意事項に同意いただける方のみ、以下のURLより質問を投稿してください。(質問への回答はページ下部に掲載しています。)

留意事項

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回答者紹介

広島大学副理事(日本語教育担当)・森戸国際高等教育学院 特任教授
迫田 久美子

広島大学・国立国語研究所名誉教授。
永年にわたり日本語教育の専門家として、日本語学習者コーパスの構築などの日本語教育の研究基盤の発展に尽力するとともに、大学などにおける日本語教師の養成研修に尽力し、国内外に多くの日本語教育専門家を送り出す等、日本語教育の発展に貢献。令和4年度文化庁長官表彰。

質問への回答

回答掲載日出身国現在の日本語レベル質問回答
2024/12/18中国日本語能力試験N1レベル 今は院生1年生で、将来日本で就職したいですが、自分の日本語はまだうまくいかないのですごく不安になります。N1は取得していますが108でかなり低い点数です。聴解が苦手です。そして、敬語の使い方も苦手と思います。普段は同級生の日本人友達との交流は大体大丈夫ですが、授業のとき、そして先生と話すときは、日本語の喋り方は間違って使うとか、自分の言いたいことはうまく表明できないことは多いです。現在の学習研究生活がうまくいって、ORを無事に終えて、将来日本で生活と仕事するため、自分の日本語力、特に話す能力を向上させたいので、先生は何かご意見があれば教えていただけますか。授業や教員と話すときには緊張して言いたいことが言えない場合が多いのですね。そして、将来の就活を考えて、もっと口頭能力を伸ばしたいという要望ですね。どうしても、友人と話す機会に比べるとフォーマルな発話の場面が少ないため、上手に話せないのです。以下に3つの方法をお知らせします。(1)/(2)➡(1)/(3)に進んでください。
(1)N1の試験を受けましょう!(108点はギリギリです、語彙や表現を増やすために勉強して、N1の試験を何度か受けましょう!)
(2)聴解力を伸ばしましょう!上手に話したかったら、多くの日本語を聞くことです。話す前にフォーマルな日本語の会話やストーリー、エッセイを聞きましょう!
(3)カジュアルとフォーマルの会話のシャドーイングを実践しましょう!
『Shadowing もっと話せる日本語 中級~上級』(くろしお出版, 2023)をお勧めします。
2025/1/9日本日本語能力試験N1レベル はじめて質問いたします。私は先日、迫田先生のご講演を拝聴した者です。
 そのご講演の概要紹介に「コミュニケーション能力を伸ばすには、日本人の自然な話し方と外国人の不自然な話し方を比べてみて、何が問題なのか、どうすればいいのかについて考えてみましょう」とありました。
 これに関連して、外国人学習者の不自然な話し方でも “まあまあ受け入れられる” ような事例や場面(とそれらの理由・背景)についての研究がありましたら、伺いたく存じます。
 じつは、私は日本国内のある離島の出身者です。そして、私の母語は、その離島の方言であります。現在は日本語教師をしているのですが、私は日本語教師になるために、誤用~修正・調整~自動化をとおして共通語を学習してまいりました。そのため、上のような「日本語母語話者に受容され得る誤用の研究」のようなものが、あるかどうかに関心があります。
 ご回答のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
◆ご質問、ありがとうございます!外国人学習者の不自然な話し方の許容度に関する研究だと思いますが、これは「誤用・不自然さの認定」に関わり、誤用の判断は非常に難しいです。例えば、日本語教師と非日本語教師のあいだでも判断基準が異なり、年代や男女差でも異なるだろうと思います。同じ日本語教師でもその日の授業内容によったり、焦点をあてる部分が文法か全体の流れか、流暢性か・・・などによっても、注意する場合としない場合がありますよね。従って、明確に不自然さや誤用を規定することは難しいのです。
◆「先生、コーヒー、飲みたいですか?」は文法的には誤用とは言えませんが、社会言語学の待遇的な観点では、目上の人に直接願望を聞いては失礼だというルールがあり、誤用になり「先生、コーヒーはいかがですか」というべきだと言われて、よく取り上げられます。
◆まとめると、「自然か不自然か、誤用か誤用でないか」の判断は研究の目的、教師のその時の重要とする観点、価値基準によって変化します。一般の日本人なら尚更、基準が曖昧です。そして、そのいずれもまちがっているとは言えません。それらを十分考慮して考えるためには、日本語教師自身が自分の日本語に磨きをかけておかなければ、適切な判断はできません。それほど、自然・不自然また誤用・正用の判断は難しいと理解していただけると嬉しいです。そして、それは同時に「誤用訂正」や「フィードバック」の基準にもつながる重要な問題になります。
◆誤用訂正については、『改訂版日本語教育に生かす第二言語習得研究』(迫田2020, アルク)のpp.104-106、『日本語教師のための新しい言語習得概論 改訂版』(小柳 2021, スリーエーネットワーク)のpp.142-146に否定的フィードバックに紹介が出ていますので、参考になさってください。
2025/1/9台湾日本語能力試験N2レベル 迫田先生、こんにちは。私の質問は、教科書にある内容はほぼ普通体と丁寧語(です/ます)ですから、ちゃんと敬語を学ぶ機会はあまりありませんでした。どうすれば、自分の敬語能力を上達させますか?◆質問、ありがとう。まず、丁寧体の「です・ます」も友達と話す時によく使う普通体に比べると丁寧です。しかし、質問者の「敬語」はもっと目上の人や上司に対して丁寧さを表したい場面で使う日本語表現のことを指しているのですよね。例えば、友だちに対してなら「明日、学校、来る?」と聞きますが、先生には「明日、学校においでになりますか?」と聞きます。敬語になると、単語が変わる場合も多いので、覚えることが必要です。
◆具体的な勉強方法として、2点ご紹介しましょう。
(1)大切なことは、どんな場面でどんな表現が使われるのかを学ぶことです。そのためには、アニメやマンガではなかなかそんな場面はないので、日本の会社のドラマとか映画を何度も見て、どんな表現が使われているか、意識して聞いてみることを勧めます。
(2)次に、日本の会社で使われる日本語は、大学では聞き慣れない単語も多いので、それらも覚える必要が出てきます。日本語のポータルサイト「日本語e-な」にある「しごとの日本語Easy Japanese for work」(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/shows/easyjapaneseforwork/)最初は簡単な文ですが、単語や表現は、ビジネス日本語でもよく出てくるので、何度も聞いて勉強してください。
2025/2/13中国日本語能力試験N3レベルどのようにして、完璧で流暢な日本語の文を作るか。ご質問、ありがとうございます。

(1)最初から「完璧や流暢」を目標としないで、段階を考えて勉強しましょう。
質問者のレベルはN3とのことですから、最初から「完璧・流暢」を考えないで、分かり易く、正しい文章を書くことを目標にしてください。どの技能(読む・書く・話す・聞く)にも適切な段階があります。

(2)「文を作る」場合には、どんな目的でどんな文を書くかによって、上達の方法は少し違います。ただ、共通する面もあります。今回は、二つの面について、説明します。

【目的によって異なる勉強方法】
これは、何を書きたいのか・・・によって、異なります。それは、万人(すべての人)にとっておいしい料理は作れないのと同様、目的によって文のスタイルが違います。たとえば、レポートや論文、大学院入試の回答の書き方なのか、小説、日記、手紙、メールなどの書き方なのか・・・によって、練習方法が変わります。ぜんぶを最初から練習するのは、無理なので、どれかに絞って練習を始めるといいでしょう。たとえば、レポートや自分の意見をまとめる大学院入試の回答など、レポート1枚ぐらいの量から始めるといいでしょう。そのためには、質問者のレベルがN3であれば、N3~N2の読解の文章を何度も読むことを勧めます。
 
【共通の勉強方法】
上手な日本語の文を書くためには、すばらしい日本語の文にたくさん出会うことです。つまり、たくさん日本語の文を読むことです。すてきな日本語の文章をたくさん読むことで、語彙も文型も自然な文脈で使うことを覚えていきます。ですから、自分のレベル、あるいは少し上のレベルの日本語の文を読んでください。「目的によって異なる勉強方法」のところで書いたように、N3やN2の読解問題の文章を読んだり、無料の多読のサイトがありますから(無料の読みもの – にほんごたどく)、こちらの、レベルの高い(レベル4~レベル5)の読み物を読むことをお勧めします。
何事もじょうずになるには、時間がかかります。一歩一歩自分の足で歩いて、進むことが大事です。「千里の道も一歩から」と言います。毎日、まとまった日本語を読む習慣をつけてみてください。
2025/2/13中国
日本語能力試験N1レベル
今はN1を持っています。書くのがすごく苦手です。例えば、授業のリアクションペーパーを書く時に、授業の内容はちゃんと理解した、それを聞いて何にも考えていなかったわけではないと思いますが、どう書けばいいかがわからないです。本の要約を書くのも苦手です。また、自分が聞いた話、読んだ本を他の人に話すのが難しいと感じました。そして、私は本を読むのが遅いです。授業で読んだ本は私にとって難しいと感じました。簡単な本から読んだ方がいいかな(小学生向けの本?小中学生の教科書?)と思いますが、先生のおすすめ本は何ですか?たくさんの質問、とてもうれしいです。質問を少し整理して、回答します。
① 書くことが苦手で、授業のリアクションペーパーなどはどう書けばいいか。
➡リアクションペーパーとは、授業担当の先生が学生たちに自分の授業について何をどう感じたかをしりたいのですよね?であれば、その目的に沿ってまとめることが大事です。そのためには、まず、授業を受ける時に今日の授業で何を書こうか・・・と事前に心に留めておくことが重要です。何も考えずに授業を受けていたら、あっという間に授業が終わり、書くことがない・・・ことになります(。
ポイントは、授業を聞く前に、つぎのことを頭に入れて聞いたり、メモをとったりして聞くと書きやすいのではないですか?
〇この授業で面白かったこと(どうしておもしろかったかを説明する)
〇この授業でわからなかったこと(どうして・・・なのか、理解が難しいと思ったとか)
〇もっと聞いてみたい、調べてみたいと思ったこと(どんなことを知りたいか)
多くの学生は、「楽しかった」「面白かった」のような抽象的なことしか書かないので、困ります。どこが、どうして面白かったのか、楽しかったのか・・・を具体的に書くと、教師は嬉しいです!
② 本の要約を書くのも苦手で、自分が聞いた話、読んだ本を他の人に話すのが難しい。
➡本の要約は、どの程度の量があり、どんな本なのかによって違いますが、一つの方法は本の「前書き」と「あとがき」を先に読むこともヒントになります。この本の作者がどんな気持ちで、どういうことを伝えたいかが書いてあるからです。次に、1回読んで、自分の中で、どんなことが心に残っているか、メモを書いてみることです。そのメモを見ながら、文章にしていくと要約に近いものができるはずです。
➡読んだ本を他の人に話すのが苦手なのは、その本が面白くないからでしょう。もし、本当に面白かったら、本でもドラマでもアニメでも、他の人に話したくなるだろうと思います。ぜひ、自分の本当に好きな本やアニメ、ドラマの話をしてみてください。
③ 本を読むのが遅い。
➡読む速度は、気にしなくてもいいです。時間は気にしなくてもいいから、とにかく本を読むことに慣れてください。それが一番大事です!
④ 簡単な本から読んだ方がいいか(小学生向けの本?小中学生の教科書?)、お薦めの本があれば教えてください。
➡いいえ、小学生や小中学生の本ではありません。小学生も小中学生の教科書も、日本人向けに作られているし、目的がちがうので難しいです。そうではなく、多読(たくさん読むこと)が大事です。以下に、サイトがありますから、見てください。
にほんごたどく – NPO多言語多読

こちらに  無料の読みもの – にほんごたどく
無料の読み物があります。レベル4かレベル5にチャレンジしてみてください。まずは簡単なものから読むことに慣れることが大事です。